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記事: ミックさんのこと、クラシクスのこと。

ミックさんのこと、クラシクスのこと。

ミックさんのこと、クラシクスのこと。

今回、各ジャンルで活躍されているアーティストをお招きし、ショップ内ギャラリーとしてしまう企画 “Once a Month Gallery”。 9 月 25 日から 10 月 15 日は、音楽やファッション、アートを横断した作品で活躍中のヴィジュルアーティスト / デザイナーの ミック・イタヤ氏。

クラシクス・ザ・スモールラグジュアリ 18 年の歴史を振り返りながら、アートやハンカチ、創作の事をお聞きしました。

ハンカチも正方形なんだから、もっと正方形にこだわってもいいんじゃないかと。

展示中のミックさんがデザインされたハンカチや提灯を眺めながら(以下、敬称略)

ミック 提灯て、畳めてはじめて提灯なんだよね。
- スターや、ハートのオーナメントで繊細にできてるし、これ、こういうものかと思ってました。畳めるんですね。
ミック そうそう。提灯は畳めるの。ハンカチは正方形だというのと一緒だと思う。 前から思っているんだけどブランドももっと正方形に拘って何でも真四角のものに囲まれてる、オフィスのテーブルも真四角、 メガネも真四角・・・クラシクスの人は何が何でも、全部四角じゃないと駄目なの。


- 前にも、名刺、真四角にしたらっておっしゃってましたもんね。
ミック うちは、ハンカチ、正方形がポリシーだし、テーマだから、基本的に四角なんですよ。って。


- おもしろ~い。
ミック そういう縛りにハンカチはあるんだから、それをもっと、利用しない手はないなって思ってますね。勝手に。 でも、クラシクス最初、いつからやってるんだっけ?


- 2005 年が最初だと思います。ここ六本木ヒルズ本店が 2003 年オープンなので、その頃に初めてお会いしたのだと思いますよ。
ミック そうか。そうだ、初めに描いたの “ドクロ” だよ、ドクロ。(笑)「ミック、ドクロ描いて」って。


- それ、僕じゃ無くて、言ったの秋山さんですよ。当時、アーティストさんをコーディネートしてくれてて。 ホント素晴らしい人でした。
ドクロもとても素敵だったし。
サンプル持って、ミックさんのアトリエにお伺いしたときすごく緊張したの覚えてます。
その時に、これ一枚君にって頂いたの、今も大事に使ってますよ。

 

CURONECOMIC ミックさんは、男の子と女の子、二匹の猫と生活しているらしい。

ミック ベージュが男の子で、クロネコが女の子で。もらうことになって。 まぁ、性格が真逆。人間と一緒でさ、男の子は「俺がっ!」って態度で、女の子は、「何よあんた」って。 突然女の子が、男の子の頭、後ろからポーンと叩いて、走って行っちゃうわけ。で、男の子は、えっ、あれ、何、今のって。


- (笑)え、でも、、仲は良いんですよね ?
ミック そうそう、だからそういう風に仲がいいの。それと男の子と女の子で、ネコでもお尻違うんですよ。


- え~、そうなんだ。
ミック クロネコミックは女の子じゃなくて、どちらかというと男の子っぽいんだけど、 そういう生き物の色気とかその存在のチカラみたいなものがちょっとしたポーズであるわけでしょ? そのことはすごく意識してる。 実際ハンカチになってるクロネコミックなんかも、本当は俊敏だから蝶々なんか採ろうと思ったらすぐに採れるんだけど、 クロネコミックはむしろ蝶々に遊んでもらっているっていうかそういう視点なの。 蝶々も遊んでもらっているっていう。捕まえられないようにっていうより猫が捕まえないっていう風に読み解きたいの。 だって、捕まえちゃったら遊びが終わっちゃうじゃない?


- 確かに。
ミック 猫や蝶々が実際何を考えているかは分からないじゃない?そういう風に感じる事もできるのも人だから、 そういうことは意識しています。可愛いものには可愛い理由があるじゃないですか。


- ありますよ、必ずありますよね。
ミック あ、でも今回アレだね、“CURONECOMIC” ハンカチにしてほしいっていうのもあったけど、やっぱり当初のクラシクスのさ、 ハートと薔薇と、天使っていうのに勝手に立ち返らせてもらって、アレが僕は良かったなぁって思って。 その、“CURONECOMIC” とのコントラスト。 もう一つは、“Medals” っていうメダルズはもうしっかりクラシックな、こんな感じあるよねっていう王道で。


- そうそう、フランスっぽいっていうかヨーロッパぽいっていうか、最初にデザイン拝見した時にスッタフ間でも話していました。
ミック ロックとかパンクとか、今のポップカルチャーなんかのとんがった部分を解釈しているような気分で描いたつもりなんだよね。 ヨーロッパの古典とかを今、日本のこの状況の中で持ってくるとしたら自分だったらどうかな?って思ってああいう風にしたの。 “CLOUD” はね、まあ、アドバイスがあって。そう、ちょっときっとね、思うのと違うのが出来たんだと思うんだけど。


- いやいやいや、全然!こちらのアドバイスがちょっと具体的だったので・・・表現とかじゃなくて、こんな時代だから POP で、跳ねるようなものをブランドネームでって思っていたので。ミックさんならどうするかなって思ってたから。 受け取った時にすごくいいなぁって思ってたんです。クラウドってタイトルも好き。
ミック あ、そうだね。クラウド。でも、アレでアルファベット全部作っていろんなもの組んだら面白い感じになるのかなって思った。 もし、そういうご用の際には言っていただければ、


- 是非是非。
ミック 他の足りない文字も描きますので。(笑)

 

ミックさんとカウンターカルチャー、そして秋山さん

- 冒頭にありましたけど、ミックさんとクラシクスとはかれこれ 15 年以上前の出会いで、きっかけは秋山さん(*)でしたよね。
ミック すごく、昔から知っていたんだけど、ああいう風にこう仕事で一緒にやらせてもらって、 秋山さんからもそんな大それたもんじゃないけど、カジュアルな手紙をもらったりして。 仕事して良かった、僕としては本当に感謝しています。 いい機会をもらって、いい仕事ができたっていう、そういう風にした仕事ってやっぱりすごく、あの、特別ですよね。 ミックにドクロ描かせたらどうなんだろうっていうさ、僕も天使は描くけどドクロ描いたこと無かったから。


- うーん、やっぱり、秋山さんのコトバの一つ一つとか、人との繋がりとか大きかったですよね。 それでミックさんにもお会いできたし、またこうしてお仕事をご一緒させていただけているし。
- ミックさんには馴れ馴れしくしてしまってごめんなさいって感じなんですけど。
ミック いや、馴れ馴れしくしてくださいよー。(笑)


- (笑)いやいや、もう前から作品やらを拝見していて、もう、憧れの人なわけ。 で、願っていたら憧れの人と仕事できるんだって思った。初めてアトリエにお邪魔した時、すごいドキドキしちゃって。 お腹痛くなってきちゃいますよね。
ミック ははは。


- で、今日、これ持って来ちゃったんですよ。昔の。
ミック え、何持って来たの?胃薬じゃないの?   あぁ~っ。「TRA」の1号。すごいね。


- ヘェ~。
ミック これね、カセット付きのマガジンで。


- あ、そう、教えてもらって。これですよ。(カセットテープ)伝説の、Moma 収蔵作品。 当時、これが本屋さんに並んでるの見てびっくりしました。 なんで、こんなこと、考えられたんでしょう?
ミック え、これねぇ、やっぱり東京を代表するメディアがほしかったっていうの、ありますね。 この頃はニューヨークでも、ロンドンでもパリでもさ、いろんなこういう雑誌とかの文化というのがクローズアップされてて。 ウォーホルの「Interview」とかもこの頃だったのかなぁ。 すごく視覚的に面白いデザインのものが随分あったんだけど、東京には無かったんだよね。


- 確かに。ロンドンとか。「i-D」マガジン。ね。
ミック それで、カセット付きの、要するに音楽とか、紙媒体で表現できることはファッションとか、写真家とか紹介できるし、 建築家とか。 で、インタビューしてその声を録音したのをカセットにして出そうとしたの。 だから、この時代の新しい、まぁメインのストリームじゃなくて今でいえばカウンターカルチャーというか、 アンダーグラウンドの面白いっていうものがあるんだよっていうのを表現というか、編集してピックアップして出して行くという。 ニューアーティストカタログ、平たくいうと新しい世代のアーティストのカタログなんだよっていう。 まぁ、でも僕これに関わったのが運の尽きっていうか、いい意味でだけど。


- えっ、そうなんですか?そんな風に思えないんですけど。
ミック そこは、微妙なところあるっんだけど、つまり、自分はこうだって思うこととパブリックイメージって ギャップがあったりするし、これだからどう何やってもミックさんだねって言われるのが一番良いんだろうなっていう道を、 ずっと歩んでいるんだろうなと思う。 僕らしいことを続けてるっていうことが一番の大事にしなくちゃいけないことなのかな。ごくごく普通に、 「これ良いでしょう?使ってみてちょうだい。」ともいえるし。


- う~ん。(感慨深い)
ミック シンプルな話ですよね。それがやっぱり持ち味でしょう。

ハンカチとクラシクス

- テキスタイルとか、ファッションとか、いろいろな見方があるんですけど、ミックさんにとってハンカチってなんなんでしょうね?
ミック ハンカチね。ハンカチって基本的にマルチなもんだよね。持ってると安心だっていうのありますね。


- うーん。
ミック 小学校の時とか、ハンカチ検査とか、あった?


- ありました。ありました。
ミック 持ってるとか持ってないとかさ。今もあるのか知らないけど?


- 今もあるみたいですよ。
ミック それは良いことだと思うなぁ。怪我した時とか、拭いたりとかいろいろな使い方ができるし、 持ってないと安心できないものになってるね。それで、いろんなデザインもあるから、結構自由だよね。 でも、ハンカチっていう括りと縛りの中で機能とか存在っていうのがやっぱり小気味いいって言えば、小気味いいけどね。 ハンカチなんだからってね。


- さっきから、クラシクス、クラシクスとハンカチって話しちゃってるんですけど・・・ クラシクスの仕事って楽しんでやって頂けてます?(笑)
ミック (笑)もちろん、もちろん。悩みも大きいけどね、どうすると一番素敵かな?とかさ、そういう意味では悩みっていうのは 嫌なことではないしどうしたらいいか考えたりする意味ではその部分にエネルギーと力を使いやすいよね。 特にこういう風に同じ作家で、三つとも傾向が違うじゃない?そのことはぼくの特質だと思うから。 だいたいその人のタッチがあって、三種類作ったらある一定の方向になると思うんだけど、僕みたいなのって稀だと思うんですよ。 これがあってこれがあってこれがあって、同じ人が同じ時期に作ってるのか、なんなのこっれていう?タイプだからさぁ。 あとやっぱり、ハンカチの専門店で、ハンカチだけで店やってるっていうことが何よりもお客様がそこにハンカチを買いに来る 明確な目的があって、何を探しているのか、どんなものに出逢いたいのか漠然とか、完全に決めてきてたりとか・・・ そういう人のターゲットとして何か自分の作ったものがあって、 まぁ、たまたまきたら猫好きだったって、すごいハマったていう人もいれば、全然目にも入らない人もいるって、 そんなのも面白いですよね。


- まぁ、でも、そんな嫌でないならちょっと安心しましたけど。(笑)
ミック (笑)いやいや、全然嫌じゃないですよ。もう、あの、毎月でも仕事したいぐらいですよ。(笑)


- (笑)甘えさせていただきます。

この後、感じることを積み重ねること、ピクチャーダイアリーの描き続けるチカラ、文字で伝えることの選択・・・ 楽しい学びの時間が過ぎていきました。 長身でスタイリッシュな風貌は少し近づきがたい雰囲気もありますが、実際のミックさんは気さくでとても優しく、 何よりもストイックな感じと同時に、一緒にいる人との時間や感じることを大切にするかたでした。 エッジの効いた作品も、地元茨城の伝統工芸的な取り組みとデザイン、色々なものが会話の中でも出ていた ミックさんらしいものだと思います。 また、ハッピーなハンカチ、よろしくお願いします。

次回は、偶然の Moma 繋がりになりますが、デザイナーの徳田祐子さんです。 注)会期終了後も、ミック・イタヤ氏デザインの商品は引続き店頭販売致しております。 また、文中の商品は店舗、時期により在庫状況が異なる場合がございますのでご了承の程お願いいたします。

*秋山さん : 秋山 道男 スコブルコンプレックス會社・主宰 価値のソムリエ(編集者、プロデューサー、クリエィティブディレクター、装丁家、俳優、作詞家、作曲家他) 2018 年 9 月 19 日 満 69 歳没

ミック・イタヤ | MIC*ITAYA ヴィジュルアーティスト / デザイナー 茨城県水戸市生まれ。多摩美術大学デザイン科卒業後、 外資系広告代理店でグラフィックデザインのアルバイトをしながら、 イラストレーションやファッションの仕事をスタート。 その後、フリーランスに。 1982 年、のちに MoMA で永久保存されることとなる、 カセットテープ付きのサウンドとビジュアルの雑誌「TRA/ トラ」を創刊。 その後も、音楽やファッション、アートを横断した作品で活躍。 個展や作品集も多数。 近年は、生まれ故郷・水戸で江戸時代から続く 水府提灯を「SUZUMO 提灯」として発表。 ジャンルを超えた幾多の閃きを視覚化し融合する、 フューチャーロマンティックなアーティストとして活躍中。

聞き手:後藤 茂、大矢 沙利美(クラシクス・ザ・スモールラグジュアリ )

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徳田さんのこと、クラシクスのこと。

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