ハンカチーフの歴史
高貴さの象徴だったハンカチーフ
私たちがいつ頃からハンカチーフを使うようになったかは定かではありません。 しかし、ブリュッセルの記念博物館には、エジプトのダジュール王女(3000BC頃)の墓から発見された精巧な麻の端切れが保存されています。
それが手を拭いたり、汗を拭いたりするための布(ハンカチーフ)であったと考えられています。 紀元前700年頃のペルシャでは、ハンカチーフは高貴さの象徴として使われ、最高級の絹に刺繍飾りを施したものが存在しました。
それは王族だけがもつことを許されていたようです。
このようにハンカチーフの起源は世界各地、様々な場所にあったと考えられています。
愛の証、ハンカチーフ
17世紀、ハンカチーフが愛の贈り物や小道具として本格的に用いられるようになります。 恋人たちは舞踏会の中で人目を忍んで逢引の約束をするときに用いたり、 愛の証として、自分のイニシャルや紋章入りのハンカチーフを贈ることがさかんでした。 1682年、1枚のハンカチーフをめぐる悲劇を描いた、シェイクスピアの「オセロ―」が上演、絶賛を浴びました。 また、フランスの剣士の活躍を描いたデュマの小説「三銃士」にも、貴婦人からの愛の贈り物としてのハンカチーフが登場。 昔からロマンティックでドラマチックな役割を担っていました。 この頃にはエチケットとしてもハンカチーフは定着していきました。
マリー・アントワネットとハンカチーフ
当時たいへん高価な贅沢品であったレースのハンカチーフ。フランス宮廷の婦人たちはその美しさを競い合いました。ローズ・ベルタンのデザインするドレスや髪形、宝石は上流階級の女性たちにも流行し、マリー・アントワネットはヨーロッパのファッションリーダーとなっていきました。その彼女が、円形など様々な形をしていたハンカチーフの中から、正方形を選んで国の内外に広めたと言われています。そして、マリー・アントワネットの誕生日翌日【11月3日】は、ハンカチーフの日と定められています。
愛され続けるハンカチーフ
ファッション性が強くなったハンカチーフには絶好の素材となり、多くの人々に広く愛されるようになりました。世界各国に普及したハンカチーフは、その後それぞれの文化のもとに独自の発展を遂げ日本にも上陸。1880年頃の鹿鳴館時代を境に急激に広がり、それまで手ぬぐいが主流だった日本にとって、ファッションアクセサリーとして欠かせないものとなりました。「花嫁ハンカチーフ」とも呼ばれ、結婚式で花嫁が持つハンカチーフにも用いられています。真っ白な生地に上品なレースをあしらったハンカチーフは、まさに贅沢品。人生の門出にそっと寄り添ってくれるレースハンカチーフは今でも愛され続けています。